お盆前だったでしょうか、大阪の御堂筋へ。
「竹中工務店 TAKAENAKAデザイン展2006」行ってきました。
地下鉄御堂筋線「本町駅」下車すぐ、何かと通りがかってはいましたが、
ビルの中には初めて入りました。
(大阪の中心部で行われていたこともあり、学生や会社員の方も多く観に来られていた様です。)
展示の構成は、大きく2つ
1「モダニズム16人展―竹中工務店設計部の源流」巡回展
と題して、黎明期から1960年代までを16人の建築家と作品を通して
「竹中工務店設計部」の「源流」として示している_とのこと。
2「現代16作品展―竹中工務店のいまとみらい」
特に西日本を中心に、近年の代表的な作品とそれを支える人・チーム、そして方法論を展示し、
「竹中工務店設計部」の「これから」を示している展覧会です。
モダニズム16人展を会場の中央に配置し、エントランスからそのまわりを現代16作品展が
展示レイアウト。会場が広いため、心地よく_というよりも「圧巻」でした。
その作品、またプレゼンテーションのクオリティ。技術の開発力、エンジニアリング力や
施工力をふつふつ感じさせる、レベルの高い作品群。
まずは「現代16作品展」。鑑賞しているとき目が行ったのは、ひとつひとつの作品づくりを数名
のメンバーで行っているという点でした。DNAでも数名で計画に携わることはありますが、竹中さん
独自の多様・多才さが見受けられる組織力/またチームワークです。だからここまで大きくて細かい
模型まで出来るのか(部隊がいるわけやな)と思いつつも、細部まで丁寧につくり込まれていること
に驚きでした。
全体の展示企画〜コーディネーション、会場構成等の制作もスゴかったです。
大きな写真パネルから、各ゾーンを仕切る布にまで写真が施されていたり、小さな立方体(制作者
や担当スタッフさんの顔写真を貼られたもの)が列べて天井から吊るされていたのも、印象に残って
います。
また、じっくり観ていると、各作品のプレゼンテーションにも個性がありました。
白模型が多かった中、色彩豊かに模型やパネルを施されたもの(女性の方かな)で自然を空間に
取り入れる案や、会場角のプロジェクターを使用された(確か音楽ホールの音響、残響の説明だった
と思います)映像もありました。これら各プレゼンは、その意図を的確に表す手段を選んでのこと。
明確さが伝わってきました。
「モダニズム16人展」の方は、1910年代〜竹中工務店設計部でご活躍された方々の作品展。
大きな顔写真と経歴、作品の写真と模型がきれいに列んだ空間もインパクトがありました。
白黒写真が、明治・大正・昭和を想わせる通り(笑)の作品群ですが、この時代に建てられた建物は
いいなぁとつくづく思います。今も街中に佇む様なレトロなレンガ積みの建物や肌色のコンクリート
壁面。
また日本の伝統建築・・。
少し列べさせて頂いてもよいでしょうか。
・ 朝日新聞大阪本社 1916大阪市(現存せず)
・ 聴竹居 1928京都府
・ ジェームズ邸(望談閣)1934神戸市
・ 雲仙観光ホテル 1935長崎県
・ 藤本ビル
ブローカー銀行本店 1920大阪市(現存せず)
・ 安藤七宝店 1930東京都(現存せず)
・ 堂島ビルヂング 1923大阪
・ 宝塚大劇場 1924兵庫県(現存せず)
・ 白鶴美術館 1934神戸市
・ 西本願寺大谷本願守真所1936京都市
・ 名古屋大劇場 1395名古屋市(現存せず)
・ 雅俗山荘 1937大阪府
・ 大阪貯蓄銀行西陣支店 1924京都市(現存せず)
・ 朝日会館 1926大阪市(現存せず)
・ 辰馬本家酒造白鹿館 1930兵庫県
・ 朝日ビルディング 1931大阪市
・ 御堂ビル 1965大阪市
・ 国立劇場 1967東京都
蒼々たる作品群です。
DOCOMOMO100選にも、藤井厚二さんの自邸「聴竹居」をはじめ、竹中工務店設計施工作品として
石川純一郎さん「辰馬本家酒造白鹿館」・「朝日ビルディング」、岩本博行「国立劇場」の3作品が選ば
れています。
http://www.docomomojapan.com/docomomo100.html
個人的には大阪の街をいかに知らないかが分かります・・汗。
近々、大阪モダニズム建築小旅行なんてのもいいかなと思います。(いやホンマに)
大正・昭和に建てられた建物が、取り壊されたり、改装される動きは(阪神大震災以降、
いやそれ以前から?)盛んでしたが、危険を考慮してと言えど、自分たちのよく知る風景や、利用して
いたことがあるなら尚更のこと、やはり残念な気持ちは強くあります。
今回の展覧会では、竹中工務店設計部の過去と現在を観つつ、未来の建築、風景や社会を
考えたり想い描く貴重な体験となりました。