東京で開かれていた「ギメ東洋美術館所蔵 浮世絵名品展」の巡回展が
4月初旬より大阪にやってきたので行ってきた。
鈴木春信、東洲斎写楽、喜多川歌麿、鳥居清信、葛飾北斎、歌川広重などなど
蒼々たる画聖たちの浮世絵が会場狭しと並べられていた。
浮世絵の通史など全く知りもしなかったし
こうしたまとまった展覧会はなかったので、
浮世絵史を概括するのに、とてもいい機会だった。
その中でも写楽の異端ぶりは目を見張る。
元来浮世絵、特に役者絵は現代のブロマイドのようなもので
役者の美しさを前面に押し出すものであり、
多少のデフォルメを施しても「綺麗」に描くのが必須だった。
今の時代でも厚化粧に照明をガンガンあてて、
不自然なポーズをさせた上でアイドル写真をとるようなものだ。
写楽はそんなことをおかまいなしに
その人物の有り様に迫った。
眉間に深く刻まれたしわ、エラのはったあご、歌舞伎の見栄の天地眼…。
役者のぶっさいくな顔をその人物の有り様として描ききった。
1年ほどで写楽は浮世絵の世界から消えてしまったようだ…。
多くの秀作より、たった1つの傑作。
世界のベクトルを新たな未来に向かわせるのはこういった作品なのだろう。
また本展では北斎の龍虎図が「世界初公開」された。
最近の美術展は商売がうまい。
「何百年ぶりの〜」「今逃すと二度と見られない〜」とかキャッチーなコピーが…。
ミーハーな性格なのでついつい乗せられて足をはこんじゃいますね。
今年もいろいろ楽しみな展覧会が多いです。