構造についての考え方の質問をよく受けるので
説明をする際の根拠にしている資料をまとめました。
■住宅性能表示制度
「住宅の品質確保の促進等に関する法律」のうち
構造の安定に関する等級について
等級1 「地震力 1.0」
現行建築基準法に準拠した構造設計法で設計された建築物。
建物の耐用年限中に数度は遭遇する中地震(気象庁震度階の震度Ⅴ、マグニチュード 5〜7)に対しては機能を保持することで、
建物の耐用年限中に一度は遭遇するかもしれない
大地震(気象庁震度階Ⅵ〜Ⅶ、マグニチュード7以上)に対しては、
建物の架構に部分的な損傷が生じても、最終的に崩壊からの人命の保護を図ることを 目的として定めた地震力である。
等級2 「地震力 1.25」
大地震後、構造体の大きな補修をすることなく建物を使用することを目的
等級3 「地震力 1.5」
大地震後、構造体の補修をすることなく建物を使用することを目的
等級2、3の割り増しはもともと官庁、病院の建物において、災害時に活動するための機能保持を目的とし、各建物の用途に応じて定めた、重要度係数からきたものと同じと思われる。
当然地震力を割り増すとコストはアップする。故に現実的な設計としては地震力の割り増しではなく、建設地域の過去の地震経緯と想定耐用年限中に遭遇する確率等から、あるいは建物機能からどの程度の地震力を想定するかにより決定すべきことで、単に建物等級で決めることではない。また単純に割り増しで等級を決定すること自体おかしい。なぜなら建物自体のバランス等の個々の特性があり、同じ等級3として地震力を1.5倍割り増ししても建物の余裕率は同じ1.5倍とならない。
ということで、当事務所では等級1にて設計しています。
構造に関して、特に心配される方に対しては
上記の内容をご理解いただき、
それでも耐震性能のアップをご要望される場合は
等級をアップすることで対応するようにしています。